パレスチナ記

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※以下の記事は訳ありで書いた回想記の転載です。
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空港ターミナル。イスラエルは思っていたよりもずーっと先進国のようだ。



ダウンジャケットを着ないと凍えてしまう12月のスイスを飛び立ち向かったのはイスラエルの首都テルアビブ。

何事もその場に足を踏み入れて自分の肌で感じてみないと分からないというのが自分の信念なので

10日間かけてパレスチナという土地を少しでも理解したいという思いでやってきた。


 飛行機から降りるとあの中東特有の香辛料の効いた空気がズシッと半袖から出た腕にのしかかってきて

中東にやってきたことを肌で感じさせてくれる。

噂には聞いていたけど、イスラエルの入国審査は執拗である。

どこから来てどこへ行って何をして、なんていう質問は当然で、更には家族構成を聞かれたり

場合に寄っては別室に連れて行かれ、FacebookやTwitterの中なども調べられることも日常茶飯。

そういうときは、いかなる質問にも堂々と答えることが一番重要である。

少しでも動揺した様子を見せると怪しまれて事をややこしくしてしまう。

そして間違っても「パレスチナに行く」などと口にしてしまわないこと。

その場で拘束されて解放してもらえなくなる可能性もある。

それもこれも、イスラエルが常にパレスチナとの間に問題を抱え、常にテロの危険にさらされているからである。





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あの有名なダマスカス門。映画キングダムオブヘブンにも出てくる。





 一口にパレスチナと言っても死海などのある西岸地区と、よくニュースで目にするガザ地区とがあり、

今回訪れたのは西岸地区である。と言うか、ガザ地区には余程コネなどを持ったジャーナリストや

国連関係職員で無いと入れない。

そこには身の危険もあるがそれよりも政治的要素が非常に複雑に絡んでいる。


 西岸地区立ち入ることはガザに比べれば、自分たちのような外国人にとって然程難しくない。

チェックポイントと呼ばれる国境のような施設でパスポートや持ち物をチェックされるだけで西岸地区に入れる。

よく耳にする”分離壁”というものもそこに建てられている。

 分離壁というのはイスラエル政府が一方的に西岸地区との境界に建てているコンクリートの壁であり

国際法に乗っ取った93年のオスロ合意で合意した境界よりも

ずっと西岸地区の中に入り込んで建設されていることがほとんどである。

こういう場所は常にデモや暴動の中心に置かれる為、常に銃を携えた兵士が見張り小屋から監視していて

それだけで日本人の自分はたじろいでしまうぐらいの威圧感

空気がツーんと張りつめているのを背筋にひしひしと感じる。




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これが噂の分離壁。その高さよりこの壁の持つ圧迫感にたじろいでしまう。







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その壁の切れ目にあるチェックポイント。このピリピリと張りつめた空気がなんとも言えない。









 西岸地区に入ると至る所に銃を構えたイスラエル兵士がいて目のやり場に困る。

間違っても目が合ってしまい、怪しまれると簡単に銃口を向けてくる。

銃なんて見慣れない日本人の自分に取って銃口を向けられるなんて、もう世界の終わりかと思ってしまう。

それにしてもこんな状況でパレスチナ人たちの生活は24時間管理されているのかと思うと

なんとも言えない想いが込み上げる。




 そして西岸地区の中には入植地と呼ばれるイスラエル政府によって建設されたユダヤ人居住区があり、

よりよい労働賃金を求めて働きに行くパレスチナ人もいる。

皮肉にも労働賃金の良さから分離壁の建設をパレスチナ人が行っていることもある。

その壁のせいで生活が苦しいために「少しでも良い仕事を」と求めてしまったが為に、更に壁を高くしてしまう。








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市場はもの凄い活気。人の匂いを感じて一安心。






 パレスチナというとイスラム教徒をイメージする人がほとんどだと思うが、実はキリスト教徒も多い。

それもそのはず。ヘブロン、ベツレヘム、エルサレム、などのキリスト教の聖地は全てパレスチナにある。

ちなみにクリスマスツリーの上に飾る星はこのパレスチナのベツレヘムという町でキリストが生まれた時、

夜空のこの町の上に輝いていたことからベツレヘムの星と呼ばれるようになったそうだ。

 キリストの生まれた生誕教会に一歩入ると、薄暗い教会の中は金箔で張りつめられた装飾と石造りの建築で、

足を進めるごとに冷たい空気が頬をかすめると同時に、奥からざわざわと人の声が聞こえてくる。

キリストの生まれたとされる場所に手をあて一心に想いを呟く敬虔なキリスト教徒の人たちがいる。

これらの場所は全てキリスト教徒たちが”死ぬまでに必ず訪れるべき聖地”であり

それらは全てイスラム教の聖地でもあり、ユダヤ教の聖地でもある。

だからこの土地の問題はいつまで経っても収まらないどころか解決の糸口も見つからない。





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この土地ではよく車が燃えるようだ。






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分離壁の前に転がるワイヤーはタイヤの燃えカス。彼らにできる精一杯の抵抗である。





 面白いのがイスラム教徒が多数派のこの国にもひとつだけビールを作っている工場がある。

キリスト教徒の家族が営むビール工場で、日本やヨーロッパなどにも出荷している。

正直なところ舌鼓を打つような美味さは無いけれど、イスラエルの支配下にあるパレスチナに於いて

水道を止められたり、電気を止められたりしながらも

少しでもパレスチナからパレスチナを発信していこうと

イスラム教国家にいるキリスト教徒という宗教の隔たりを越えて頑張る彼らの姿には心から感心した。

もし日本で見掛けたら是非口にして欲しい。




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オリーブ畑の広がる本当に良い土地なんだようなぁ・・・。






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是非飲んでみて下さい!







 道を歩けば上からゴミを投げられ、家に帰れば水は出ない、電気も点かない、

墓参りへ行こうにも分離壁で隔てられてしまい複雑な手続きを経て

許可証を取得しない限り壁の向こう側には行かれない。

もちろん今自分がしているように海の向こう側にだって行けない。


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あの有名なバンクシーの放つ強烈なメッセージ






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それよりも ysk にはこの落書きに心の奥をぶん殴られた。






 少しでもこのパレスチナという土地のことについて理解したいと思って来たけれど

自分の知らないことの方が多過ぎて何がなんだか分からなくなってしまった。

それでもこうやってパレスチナという土地に誇りを持って、そこに暮し続け、

こんなただの外国人である自分に満面の笑みでパレスチナの自慢話をしてくれてる

そんな彼らのたくましくも健気な笑顔を見れただけで今回のパレスチナ滞在は良かったのかもしれない。

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コメント

No title

だいぶ以前、ヴェネチアのユダヤ人地区での落書きについての記事にコメントさせて頂いた者です。今回も自分にはなかなか行けない土地の日常についての興味深い記事、ありがたく読ませて頂きました!

読んで世界について考えさせられる、とか、(多分に好みもありますが)旅してるその人の気持ちや感覚・感性にきゅーっとシンクロさせて頂けるブログ、そしてどこか筋の1本通ったブログに惹かれるのですが、自分にとってのそういうブログが村から激減してしまった最近ではyskさんのブログは本当に貴重です。更新楽しみにしています ^ ^

2015/06/09 (Tue) 22:39 | 96 #- | URL | 編集
Re: No title

96さん>またまたコメントありがとう御座います!
仰る通り、非常に好みの分かれる内容になっているブログだと思いますが、まだまだ自分では芯がブレてしまっていると感じることが多々あります。色んな国で暮して、色んな価値観に触れる旅に、自分の立ち位置を再認識させられてガッカリすることあります。そんな中でもこうやって仰って頂ける方がいることが本当に旅の支えになっていますので、コメント頂けて本当に嬉しく思っています。ありがとう御座います。
もうすぐ世界の変わった地域を特集している本が発売されるのですが、その中でパレスチナについて書かせて頂いているので、良かったらお手に取ってみて下さい。発売が決まったらブログでお知らせしたいと思いますので、宜しくお願いします。

2015/06/10 (Wed) 00:09 | ysk44 #nft/jt/c | URL | 編集
No title

覚えていて頂けたのでしょうか、うれしいです!

>自分の立ち位置を再認識させられてガッカリすることあります。

でも、肌身で強烈に感じたことだからこそyskさん御自身の一部になっていくのですから、良いことも大変なこともひっくるめて素晴らしいご経験だと思います。
そして、そういう海外生活を出来るタフさ。すごいことです。

うわぁ、本が発売とは!デリケートな題材(パレスチナ)ゆえの難しさもあったやもしれませんが、楽しみにお待ちしています!

p.s.
大丈夫、yskさんブレてないですよ。村ウォッチャー歴8年くらいの自分の太鼓判押させて頂きますw 再三失礼致しました!

2015/06/10 (Wed) 02:06 | 96 #- | URL | 編集

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